令和2年後期筆記試験問題解説シリーズ①「社会的養護」本日カドカワ様より書籍が発売されました

2020年10月30日

令和2年後期保育士試験解説シリーズ②「社会福祉」問15

こんばんは、桜子先生です。

令和2年後期試験の解説を行うシリーズ、
今日はリクエストをいただいた「社会福祉」です。
まずは問15を解説しますね。


<問15>

スクリーンショット 2020-10-30 184435


こちらは、児童養護施設入所児童が職員から虐待を受けた場合の
児童の権利擁護についての問題です。
ここで気をつけなくてはいけないのが、
この問題は「児童虐待」を問うものではなく、
児童を1人の利用者として、それに対する社会福祉施設の事業者
という構図で考えなければいけない、ということです。

それをふまえて選択肢Aを確認すると、
虐待を受けた児童は、「社会福祉法」に苦情の解決に関する規定があり、
苦情を申し立てること ができる。

は、
*虐待を受けた児童=福祉サービスの利用者
が、
*苦情の申立て
をすることを問われているのであり、
するとこれは「社会福祉法」第82条の
社会福祉事業の経営者は、常に、その提供する福祉サービスについて、利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない。
=利用者の権利擁護
を受けて、正解と判断できます。

同様に選択肢Bの
虐待を受けた児童は、都道府県社会福祉協議会に設置された運営適正化委員会に
申し立てること ができる。

も、「社会福祉法」第83条の
都道府県の区域内において、福祉サービス利用援助事業の適正な運営を確保するとともに、福祉サービスに関する利用者等からの苦情を適切に解決するため、都道府県社会福祉協議会に、人格が高潔であつて、社会福祉に関する識見を有し、かつ、社会福祉、法律又は医療に関し学識経験を有する者で構成される運営適正化委員会を置くものとする
同第85条の
運営適正化委員会は、福祉サービスに関する苦情について解決の申出があつたときは、その相談に応じ、申出人に必要な助言をし、当該苦情に係る事情を調査するものとする。
を踏まえて正解と判断できます。

また、社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する苦情解決については、
厚生労働省より指針が出ており、これも参考にする必要があります。
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/507287_3835046_misc.pdf


最初にこの問題をみたときに、児童虐待がテーマだと思い込んでしまうと、
問題の主旨は苦情解決についてだと気づかないので、
ここが要注意だったと思います。
選択肢A、Bについては、そこに気づけば解けたはずです。


さらに選択肢Cは、
虐待を受けた児童は、その旨を児童相談所、都道府県の行政機関または都道府県児童福祉審議会 に届け出ることができる。
であり、これは被措置児童虐待についてのものなので、
「児童福祉法」第33条の12第3項である
被措置児童等は、被措置児童等虐待を受けたときは、その旨を児童相談所、都道府県の行政機関又は都道府県児童福祉審議会に届け出ることができる。
の条文ママであることがわかります。
ということで選択肢Cも〇です。

ここでの注意ポイントは、
被措置児童の虐待を規定するのは
「児童虐待防止法」ではなく
「児童福祉法」
「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」
であることです。

常々、通常の虐待についてだけではなく、
施設入所児童の虐待(=被措置児童虐待)のしくみも
理解しておく必要がありますよ。


以上、いかがでしょうか?
このような問題を解くときには、
「問題のテーマは何か?」
「作問者は何を問いたいのか?」(作問者の意図)

を見極めて考えていくようにしましょうね。


次回も「社会福祉」について解説します。

なお、「社会福祉」については、
今回も不合格者が一番多い科目のような印象をうけましたので、
*全員公開のブログで問題の意図を解説
をしつつ、前期試験桜組2021の枠の中で、
1問ずつの動画講義を行う予定です。
「社会福祉」の学習については、
単にどこから出た、どこが正誤だった、という単眼的な考えかただけではだめで、
作問者の意図をしっかり理解する複眼的な学習が必要だと思っています。

私の解説から、
どのように問題の主旨をつかみ、
どのように考えて解いていくのか、という力をつけていってください。
問1から順に解説していきますので、楽しみにお待ちください。



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