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2020年09月12日

「社会福祉」問9について、考えをまとめました

おはようございます。桜子先生です。

「社会福祉」問9Aについて、
どうして×なのかが納得できず、
資料をまとめ、専門家のかたとお話ししました。

その上で、なぜ×なのか、
そして×を事実だとすると、
設問の設定が不適切なのではないかという結論に達しましたので、
簡単に報告します。

終わったことをグダグダというのはよくありませんが、
皆さんに知識として共有させていただければと思います。
読み物としてお読みいただければ幸いです。


そもそも私を含め、複数のプロのかたたちは、
なぜAを〇にしたかというと、
Aに該当する資料があったからです。
社会保障制度をテーマにした「平成24年厚生労働白書」です。

https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/12/dl/1-09.pdf

https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/12/dl/2-00-2.pdf

選択肢Aは以下の通りでした。

全ての人の自立した生活の実現に向け雇用による社会参加を通して誰もが居場所のある共生社会及び「分厚い中間層」が支える大きな格差のない社会構築に取り組んでいくこととされた。 


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選択肢の文章は、赤字にした部分が資料と一致しています。

Aを×にしたサイトも拝見しています。
そちらは「雇用などを通じて」の「など」がないからだ、という意見でした。

確かに「など」はありません。
ただ「のみ」と限定しているのではなく、
「雇用を通じて参加が保障されている」ことは事実なので、
これだけを×の根拠にするのは弱いと考えました。


この意見を専門家にみていただき、
ここで違う事実に気づきました。
Aを×にすることができる。
それは、「現在」の社会保障の考え方は、
「一億総活躍社会」「地域共生社会」であり、
このAとはまた違っているからです。


一億総活躍社会は、女性も男性も、お年寄りも若者も、
一度失敗を経験し た方も、障害や難病のある方も、
家庭で、職場で、地域で、あらゆる場で、誰もが活躍できる、
いわば全員参加型の社会のことです。(出典:厚生労働省)



この一億総活躍社会を正誤の根拠にするのであれば、
Aの文章は平成24年当時の内容の古い考え方であり、
確かに×になると思います。

・・・ただし、Aの選択肢の時期を限っていたのであれば。



選択肢Aが古いのは間違いありません。
しかし同じ文章が資料にある以上、
これは社会保障の歴史としては誤りではありません。
ただ選択肢Aに「現在の」や「直近の」とあれば、
もちろんAは×でした。
でもその指定はないので、
この選択肢の文章から、現在の社会保障についてを答えさせるとは
断言できないと思います。

私たちプロは、正誤の根拠を考える際、
法律、公的な文書を引用します。
それが明確な証拠になるからです。
今回の場合、それが「平成24年厚生労働白書」でした。
でもそもそも作問者が
「現在の」社会保障制度についての答えを〇と考えていたのであれば、
Aは×です。
公的な白書があり、同じ表現があろうとも、です。
しかし選択肢には、「現在の」という指定がありません。
それであれば、「平成24年厚生労働白書」を除外することはできません。
わが国の社会保障改革の方向性の歴史の事実としては正しいからです。

作問者は「その後の取組み」が現在のことなんだよ、と言いたかったのかもしれませんが
「その後」が曖昧な表現なため、
設問の「2008(平成20)年以降」にも「平成24年厚生労働白書」が含まれてしまいます。
よって私はこの問題は不適切だと考えます。


もし上記の考え方が正しいのであれば、
Aを×にした理由が納得できます。
問題としてはアウトだと思いますが。


以上が私の考えです。
昨夜深夜に私の考えを検討してくださった専門家がいらっしゃいます。
心から感謝いたします。
とても参考になりました。
どうもありがとうございました。


なお、私のこのブログ記事で皆さんを動揺させるのは本位ではなく、
この記事によって、わが国の社会保障の歴史を理解していただければと
思っています。
後期試験にこの手の出題があったとき、
皆さんには現在の社会保障制度の考え方が定着していると思います。
またプロとしての私は、
文章の正誤のみにひっかかるのではなく、
全体の不具合に気づくアンテナをさらに磨かなくてはならないという
注意喚起にもなりました。
とにかく受験生の不利益にならないよう、
今回はちょっと遅かったですが、
次からはより慎重に正誤を検討していこうと考えています。






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